セットバックを必要とする宅地か否かは、対象地に接道する道路の種別が42条2項道路であるかがカギです。この2項道路かどうかを調べればわかることですが、現状は調査方法を知らないという原因による見落としが多いので、詳しくご説明します。
小さな減価要因も軽視してはならない
セミナービゲーターの久保木です。
先の改正で基礎控除が大きく減額され、今まで以上に多くの人が対象になった今、納税者の財産評価に対する考えがとてもシビアになっています。
先日も、ある不動産鑑定士が納税者から当初申告した相続税の財産評価の明細をチェックしてほしいとの依頼があったといってますし、相続税見直しなる書籍やWEBサイトも続々出ています。
とくに主な財産が自宅という対象者は、資産家層に比べてその傾向はかなり高いということを知ってください。
「無難な評価は問題の先送り」という認識を強く持ち、顧客本位の評価の実践を常に心がけることが、こうしたスキ(隙)を閉ざす唯一の方法ではないでしょうか。
それでは、減価要因に気づかない事例として頻繁に出てくるセットバックを必要とする宅地か否かの判断方法についてお話していきます。
調査方法3つの要点
セットバックを必要とする宅地は、財産評価基本通達に「建築基準法第42条2項に規定する道路に面する」と記載しているので、42条2項道路(以下、2項道路)の調べ方が分かれば、確実にわかります。
その一方で、見落としたり気づかなかったりするのは、この2項道路を調べなかったことが原因ですので、 判断方法としては、役所調査と現場調査を必ず行うしかありません。
私も当初から42条2項道路=セットバックは知っていたのですが、調べ方がわからず気になってました。
土地評価の専門家と役所調査や現場調査に何回も同行したり、セミナーで実務と事例を聴いて腑に落ちました。 そのポイントは以下の3点です。
1.役所調査で道路種別を確認する
セットバックに限ったことではありませんが、対象地に接する道路が建築基準法上の道路(道路種別)かどうかを必ず役所で確認する必要があります。
建築指導課または建築課で、担当者に2項道路かどうかを確認します。仮に2項道路だったときは、双方後退または一方後退も聞いておきます。
※一部の地域では、道路種別をインターネット上に公開してる役所もありますので、確認してみてください。
※役所の担当者は、42条2項道路だったとしても「2項」としか言わないケースが多いです(42条や道路は省く)。
2.対象地の道路沿いに既にセットバックしてる形跡を見つける
現場調査をするとき対象地の道路沿いを何軒か確認すると、すでに建て替えしており、セットバックしてる形跡が見つかることがあり、見つかれば、その道路は2項道路の可能性が高いです。
あとは道路幅員を測り道路中心線を見つければ必要なセットバックの面積が分かります。こうしたケースでも、役所で道路種別は確認するように心がけましょう。
3.前面道路の幅員を測り4m未満か確認する
現場調査で道路幅員を測りますが、仮に4m未満だったとしても、すべてセットバックということではありません。
役所で道路種別を確認すると「2項外」「未判定」「認定外通路」などと言うことがあり、これは建築基準法上の道路でないということです。
この場合は、セットバックする必要はありませんので、ご注意ください。
役所で「道路境界図を確認する」と道路幅員がわかりますので、それも覚えておくと効率が良くなります。
このように調査の仕方がわかると、対象地がセットバックを必要とする宅地かどうかが確実にわかり、必要だった場合は、その面積も判断できます。
42条2項道路を調べる方法は役所調査と現場調査しかないと思ってください。
今までこれらの調査をしないで申告していた方は、ぜひこの機会に実践してみてください。
いま案件がなくても過去のもので調査はできます。
以上、セットバックを必要とする宅地か否かの判断方法を、3つの要点に絞りご説明しました。
ご参考になれば、何よりです。
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